起業してすぐに顧問弁護士を確保することは資金的にも困難かもしれません。しかし、法律相談・契約書のリーガルチェックだけでも単発で依頼できる弁護士は早めに確保すべきです。ベンチャー企業は財務的な体力に乏しいため、一旦トラブルに巻き込まれれば企業の存亡が危ぶまれる事態にもなりかねないからです。トラブル予防の相談及び万一トラブルが生じた際の早い初動の確保のいずれの点からも、日常的に相談できる弁護士を確保しておくのがよいでしょう。

ベンチャー企業が抱えるトラブルや法的問題には、大きく分けて2種類があります。一つは、企業全般が抱えるものです。人事労務・契約関係・債権管理及び回収等が該当します。もう一つは、ベンチャー企業特有のものです。例えば、ベンチャーキャピタル等からの出資・ストックオプションの付与・IPOに向けた体制構築等です。

このように、ベンチャー企業が抱えるトラブルや法的問題からすると、ベンチャー企業が相談し、また顧問業務を依頼する場合には、企業法務全般に対応できる方が良いでしょう。その上で、ベンチャー企業特有の法務の知識や経験のある弁護士が望ましいです。創業者の知り合いの弁護士に相談するのも悪くはありませんが、当該弁護士が企業法務を中心に取り扱っているか、ベンチャー企業支援の実績があり特有の法的問題にも対応できるかを確認しておく必要があるものと思われます。