広告

景品類規制の概略

Q.プレゼント企画を実施したいのですが、どのような法規制に注意すべきでしょうか

第1.広告規制総論

自社の商品・役務の提供に付随する形で、このようなプレゼント企画を実施することは、マーケティング戦略として広く行われています。
ここで、プレゼント企画が実施される場合、消費者にとってはプレゼントがもらえるだけなので、問題はないのでは?という考え方もあるかもしれません。
しかし、事業者が過大なプレゼント(=景品類)の提供を行って競争をする場合、消費者は、過大な景品類に惑わされて質の良くないものや割高なものを買わされてしまう危険性があります。
そこで、景品表示法を中心に、過大な景品類の提供等については上限規制が設けられています。

※現在、➀新聞業、②雑誌業、③不動産業、④医薬用医薬品業及び衛星検査所業の各業界について、告示が制定されておりますが、本コラムでは、景品表示法に関する規制について、説明させていただきます。

第2.規制の種類

1.懸賞景品規制(一般懸賞、共同懸賞)
懸賞景品規制とは、懸賞( ⑴くじその他偶然性を利用して定める方法、または⑵特定の行為の優劣または正誤によって定める方法によって、景品類の提供の相手方または提供する景品類の価格を定めること)の方法を用いて景品類を提供する場合に、その上限を定めるものになります。なお、複数の事業者が参加して行う懸賞を「共同懸賞」といい、共同懸賞以外のものを「一般懸賞」といいます。

例えば、「キャンペーン期間中、10万円の新型テレビをご購入頂いた方から、抽選で5名様に8万円分の旅行券を進呈!」のようなキャンペーンを実施する場合、「抽選」という偶然性を利用した方法によって、景品類の提供の有無を決定しています。
したがって、このようなキャンペーンを行う際には、懸賞景品規制に抵触しないように注意する必要があります。

2.総付景品規制
総付景品規制とは、「懸賞」の方法によることなく、景品類を提供する場合に、その上限を定めるものになります。

例えば、「キャンペーン期間中、10万円の新型テレビをご購入頂いた方には、もれなく1万円分のお肉をプレゼント!」のようなキャンペーンを実施する場合、偶然性や特定の行為の優劣等を利用しない方法によって、景品類の提供の有無を決定しています。
したがって、このようなキャンペーンを行う際には、総付景品規制に抵触しないように注意する必要があります。

第3.規制の内容
(1)懸賞景品規制
➀ 一般懸賞規制

※「最高額」規制は、提供できる「景品類」自体の額についての上限を定めるものです。
※「総額」規制は、最高額規制をクリアした場合でも、キャンペーン期間を通じて配布できる「景品類」の総額について上限を定めるものです。

② 共同懸賞規制

(2)総付景品規制

※総付景品規制の場合、懸賞景品規制とは異なり総額規制はありません。

以上のとおり、本コラムでは、プレゼント企画を実施する際に気を付けるべき景品類規制の概略について説明させていただきました。
もっとも、実際にプレゼント企画を実施する場合には、景品類規制の適用の有無に関する判断や「取引の価額」の考え方等、様々な疑問が生じてくるかと思います。
また、本コラムでは取り扱いませんでしたが、『オープン懸賞』や『値引』といった景品類規制の適用がないサービス類型もありますので、場合によってはこのような規制対象とならない類型を活用することも考えられます。

プレゼント企画を実施される際には、消費庁のHPや専門家の活用によって、景品類規制に違反しないように気をつけていただければと思います。

濱永健太

パートナー弁護士 大阪弁護士会所属

略歴
大分県出身
平成12年 大分県立宇佐高等学校卒業
平成16年 岡山大学法学部法学科卒業
平成20年 立命館大学法務研究科法曹養成専攻修了
平成21年 弁護士登録・弁護士法人飛翔法律事務所入所
平成27年 同事務所のパートナーに就任(現職)

関連記事

カテゴリー

アーカイブ