不動産

借地条件の変更について

【相談】

当社は、とある駅の近くで土地を所有者から借りて月極駐車場を運営しているのですが、最近は売上も落ちています。最近、駅付近の開発が進んできてマンションの需要が増えていますので、土地を有効活用するためにも、現在運営している月極駐車場を止め、10階建の居住用マンションを建築したいと考えています。

もっとも、土地の賃貸借契約書では、鉄筋鉄骨コンクリートを使用した建物の建築が禁止されています。そのため、地主に鉄筋鉄骨コンクリートを使用した建物の建築をお願いしたのですが、地主はこれを承諾してくれません。

当社は、この土地上にマンションを建てることはできないのでしょうか。

【回答】

借地上にどのような建物を建てるかについては、原則的には当事者の合意によって決めることになります。

そのため、土地の賃貸借契約において、一定の内容を定めた場合、その契約内容に沿って使用・収益する必要があり、賃借人がこれに違反した場合には、用法遵守義務違反として、賃貸借契約の解除事由にもなってしまいます。

もっとも、借地借家法では、建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合に、地主の承諾に代わる裁判所の許可の制度を設けています(同法17条)。

そのため、貴社としては、地主に対し、借地条件の変更を求める借地非訟事件の申立てをすることが考えられます。

裁判所の許可が認められるためには、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により、現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるとされることが必要となります(借地借家法17条1項)。つまり、年月の経過等によって事情が変わり、その借地条件がふさわしくないと判断される必要があるのです。この事情の変化は、単に、会社として利益が出なくなってきたというような主観的な事情の変化ではなく、契約当初は閑静な住宅街であったが、その後、開発が進み付近に高層マンションが多くなったというような事情が必要となります。

そして、裁判所は、許可をする場合であっても、他の借地条件を変更したり、財産上の給付を命じたり、その他相当の処分をすることができます(借地借家法17条3項)。いわゆる承諾料の支払や、期間の延長などがこれにあたります。

借地条件の変更に伴う承諾料については、多くのケースで更地価格の10%相当額とされていますが、個別具体的な事情を考慮することも少なくありません。

借地条件は建物が建築できるか否かという事業スキームにも関わってくる事項ですので、借地条件の変更ための借地非訟手続をとる場合には、借地非訟事件を手掛けたことのある弁護士に相談するとよいでしょう。

大原滉矢

アソシエイト弁護士 大阪弁護士会所属

略歴
平成23年 私立近畿大学附属高等学校 卒業
平成27年 京都大学法学部 卒業
平成29年 京都大学大学院法学研究科法曹養成理論専攻 修了
平成31年 弁護士登録・弁護士法人飛翔法律事務所入所

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